パチンコ・パチスロに必勝はナシ。なぜなら釘ボーダーや設定理論は一日で収束しないから

引退体験談

パチンコ・パチスロの世界では、よく「必勝」という言葉が使われますが、実際のところ、必勝の方法なんてありません。

一応、理論上の話をすれば、パチンコでいえば「釘ボーダー(最新機では設定も含む)」、パチスロでいえば「設定」がプラスになっている台なら、「必勝」には繋がります。

ただし、これは「無制限に打てる条件があれば」の話になります。

パチンコ・パチスロは一日の回転数では確率が収束しない

パチンコ・パチスロは、ご存知の通り、一日の遊戯時間が限定されます。地域にもよりますが、だいたい、1日に12~13時間しか遊戯はできません。

そのため、機種にもよりますが、一日に遊戯できる限界の回転数は、

パチンコ:2,000~3,000回転
パチスロ:8,000~9,000回転

といったところです。

そして、この時に一番大事なことは、「釘ボーダーがプラスの台や高設定台というのはたった一日の回転数では理論値通りに収束しない」ということです。

大数の法則に従い、釘ボーダーの良い台や高設定台がプラスに収束していくのは、あくまで膨大な回転数(サンプル数)を増やしていった時の話です。

何万回、何十万回とブン回していった先で、ようやく理論値通りに確率の収束がしていきますので、当たり前ですが、ホールでの限られた稼働時間では全然、理論値通りにはならないのです。

また、メーカーの公表している機械割などは、あくまで特定条件における数値(なかばでっちあげているような数値)であり、一日の遊戯数で必ずそうなるわけではありません。

そもそも、機械割通りに台が挙動するなら、大負けもしませんし、万枚なんてことも起きるわけがないですよね。こういう明らかに偏りのある機械割になるのは、短い回転数では、そのように荒れる仕様になるよう、メーカーが検定を潜り抜けながら、うまく作っているからなのです。

もし、一ヵ月、二カ月、半年、一年と、毎日連続で同じ台をずっと延々と回せるなら、必勝は可能です。しかし、一日の遊戯時間に上限がある以上、現実にそんなことは絶対にできません。また、そもそも一日が終われば、ホールの人は台の調整ができるため、同じ台を同じ条件で打ち続けることすら難しいのがパチンコ・パチスロです。

このように、パチンコ・パチスロは仕組みをきちんと見れば、負ける確率の方が高いギャンブルということが分かりきっているのです。

しかも、これが3号機、4号機ならまだしも、私が打っていた頃は5号機全盛期でしたし、今の時代は、さらに出玉になりにくい5.9号機になっていくというのですから、これはもう、本当にシビアな話です。(6号機は色々と言われており、まだ未知数ですが、そもそもお客さんが激減しているホールの事情を考えれば、この先、甘い話になることはないでしょう。)

釘ボーダーを越えた台を3日間連続打ったこともあるが……

一つ、私の実体験を紹介します。

転職期間中、つまりは無職だった期間中、私は、CR蒼天の拳 初代MAXスペックにて、1,000円25回転ほどの良台を見つけたことがありました。当然、無職ということもあって、平日の真昼間にはライバルもまったくおらず、時間は十分にある状況です。

正直、その台を見つけた時は「超ラッキー!」と思って、すぐに台確保して、ATMへダッシュしました。

それからゆっくり打ち続けると……

なんと、いきなりのドンハマリで1000回転オーバーです。

そして、ようやく当たったかと思えば、STはお約束の駆け抜けで、一気にマイナス5万円です。

その後も打ち続けてみるものの、単発や2連などはしても、肝心の連荘はまったくせず、出玉も繋がらずで、結果は6万円ほどの負けでした。

さらに続行しようか迷ったのですが、夜の9時になったこともあり、その日は、なくなく断念しました。帰宅してからは、もちろん眠れず、台のコトしか考えられません。

そして、翌朝。

迷わず朝イチで店にダッシュして、同じ台に着席し、回転数をチェックして、釘が全然いじられていないことを確認すると、「今日こそは!」と意気込みました。

……。

……。

結果、マイナス5万円です。

そして、もちろん同じことを、翌日も繰り返しました。

ふと気がつけば、3日間で約15万円を散財です。

この時は結局、3日間で3,000回転以上させたにもかかわらず、爆連どころか、4,000発以上の出玉すら一度も取ることができなかったのです。

結果を復唱しましょう。

3日間、15万円も使って、蒼天の拳をひたすらに打ち続けた結果、得られたものは「多大なるストレス、眼精疲労、腰痛、副流煙吸い過ぎて喉が痛い」という散々な結果だけです。

私は、ホールを出るなり、やよい軒でアホみたいにゴハンおかわりをしてお腹一杯になり、近所の温泉施設に立ち寄って、全裸で放心状態になり、ボケーっと夜空を眺めていました。(だいたいつらいことがあると、露天風呂で夜空を見上げているのが、私のクセです。)

「釘ボーダーや高設定」は必勝ではない

大事なことなので何度も繰り返しますが、パチンコ・パチスロの「釘ボーダー・高設定」というのは、あくまで目安であり、必勝ではありません。

期待値がプラスの台というのは、「負けにくく、勝ちやすい」というだけで、必勝ではないのです。

そういう意味では、先ほどの蒼天の拳も、釘ボーダーが良いから、まだ15万円の負けで済んだ、という見方もできます。というのも、もしも釘が辛い台で同じペースで打っていれば、負け額はマイナス20万円を余裕で突破していたからです。しかし、だからといって、15万円の投資を「ヨシ!」と受け止めるには、あまりにも厳しい金額です。

そして、こういったところが、パチンコ・パチスロの絶妙にいやらしいところというか、悪魔的なところでもあります。

というのも、遊戯者にとっては、良い台は追い続けることだけが、最も有効な戦法です。しかし、良い台かどうか、というのは、パチスロであれば設定確定画面でも観ない限り、本当かどうかは、なかなか判別できません。いわゆる上っぽい挙動をしていれば追いかけますし、ちょっと違うなって思うと撤退することもありますが、その後にカマを掘られているなんてことも、よくある話です。

要するに、パチンコ・パチスロは、どこでどう吹くか、全く分からないのです。一日程度の遊戯時間では、高設定であろうと低設定であろうと、出る時は出るし、出ない時は出ない、という、なかなか困った動きをするので、遊戯者の多くは、それに惑わされて、大きな散財をしてしまうのです。

実際、私の体験でも、先ほどの蒼天の拳は大負けパターンでしたが、もちろん勝ちパターンもあり、たとえばパチスロで午前中に台の調子は悪かったのですが、高設定示唆の演出が確認できて、「これは粘ってみよう」と思い、3万円を投資したところでバカ吹きして、4,000枚オーバーのプラス5万円になった、というような経験もしたことがあります。

結果、どうなるかといえば、「打ち続けないとわからない」といった精神状態になり、ますます上限金額のタガが外れて、パチンコ・パチスロ依存はドンドン進んで、辞められなくなってしまうわけです。

結局、パチンコ・パチスロはヒキ次第

結局、パチンコ・パチスロで勝つには、最終的にはヒキ勝負です。

それはつまり、ギャンブルの原理原則である、運否天賦、すなわち「運次第」ということです。

極論を言ってしまえば、釘ボーダーが悪くても、設定が1であっても、ヒキが爆裂すれば、その日はプラスになるなんてこともザラです。

ただ、ヒキ勝負ということは、当然、引けない日もありますし、原則、ホールに転がっているパチンコ・パチスロの台は期待値が低めに設定されていることがほとんどです。

要するに、パチンコ・パチスロはほとんど負けやすいようにできているギャンブル遊戯なのです。

要するに、運ゲーのパチンコ・パチスロは結論、くだらない

私は、こういった仕組みを分かった上で、なぜか「自分は綺麗に立ち回れる人間だから、いつかはきちんと捲れる」なんて甘い幻想をどこかで抱いていたように思います。

最初の5年間はトータルプラス収支だったのだから、その頃と同じように立ち回れば、きっと負け分も取り戻せるなんて心が少なからずあったのです。しかし、結果をみれば、やはりというべきか、7年目から最後の12年目まで、ずっとマイナスばかりの結果でした。

ただ、不幸中の幸いというか、私の場合、それら12年分の収支を記録していたおかげで、これらの仕組みそのものをすべてひっくるめて、「くだらないものだ」と気づくことができました。

正直なところ、理論がどうこう、必勝がどうこうとか、もうどうでもいいんです。

結果だけを見れば、私は12年のパチンコ・パチスロ実戦で、100万円を失い、さらには、そのストレスを解消するために130万円近くを散財し、貴重な20代の時間のうち、2,260hもの時間を遊戯に使い倒してしまったのです。

この結果だけが私にとっての真実であり、他の人がどうであろうとも、パチンコ・パチスロがどういう仕組みであろうと、もはや関係のない話です。要するに、私は絶対的に敗者に終わったのです。

一応、可能性だけの話をすれば、もしかしたら、この先も打ち続けていけば、収支上の数字をプラスにすることは100%不可能ではないのかもしれません。しかし、それも結局はヒキ次第、というお話になります。そんな運ゲーに、これからの人生、なけなしの30代の時間をすべて突っ込もうとは、到底、考えられないことです。

私は今、30代です。

もし、これまでの12年と同じような生活を送れば、私は40代半ばになっており、その頃に仮にプラスになっていても、パチンコ・パチスロに費やした時間というのは、想定5,000時間を超えるものになるでしょう。

40代男性、思い出の大半はパチンコ・パチスロのみ……

私には、とても受け入れられない人生です。

そして最も恐ろしいことが、今までのようにだらだらと惰性で打ち続けてしまうような人生を歩けば、そういう40代に本当になってしまうという恐怖があることです。これは強力な楔となって、私の脳味噌に打ち込まれています。

結果、私はパチンコ・パチスロに対して無関心になることができました。「そんなくだらない遊び、もうどうでもいい」という心境になったのです。まるで小学生時代に夢中で遊んでいた、チャチなオモチャの残骸にしか感じられなくなったのです。

依存症になっている時は、なぜか勝てると信じてしまう

今でこそ冷静な頭ですから、ボーダーなどの理論は意味がないし、ヒキ次第のパチンコ・パチスロを続けていても時間の無駄であると気づくことができました。

しかし、12年目までのメンヘラな精神では、なぜか「自分だけは特例」と思っているフシがありました。なんというか、ボーダーなどの理論が絶対でないことを知っているのに、自分自身はそういった法則にあてはまらないというか、要するに、「自分のヒキは強い」みたいな謎の思考になっていたのです。

また、私の場合、最初の5年間はトータルプラスだったこともあって、その経験が、「ちゃんと立ち回ればパチンコ・パチスロは勝てる」という幻想になってしまい、いつまでも未練のように残って、ズルズルと打ち続けてしまっていたようにも思います。加えて、4号機時代、スロプロで食べていた知り合いなどもいたから、「ちゃんとやれば勝てる」という勘違いをさらに助長させていたようにも感じます。

そして、こういった思考をしていた頃の自分に尋ねたいことは、「そもそもパチンコ・パチスロで勝つってどういうこと? 少しは考えて打っているの?」ということです。

続く!

ゴミクズ