前回記事に書きましたように、私は12年分の収支記録を振り返り、膨大な時間とお金を無駄にしたことに気づき、ホールへの憎しみ、そして自分自身への激しい嫌悪感を覚えました。
しかし、この時の憎しみの感情というものは、これまでのものとは決定的に違うものだったのです。
膨大な負けデータは目先の怒りよりも喪失感を優先させる
今まであれば、大きな負け額を味わえば、「ふざけやがって! もう絶対に引退してやる。二度と打たない。二度と打たないからな!」という怒りの感情になりつつ、時期が経過すれば、「ちょっとくらい……」というように意志薄弱で打ち続けてしまっていました。
しかし、12年分のデータによる負けの事実は、もう、そういう意志が弱いから……とか、あほみたいな言い訳レベルで済む内容には、とても感じられなかったのです。
12年で、500万円分以上の価値を無駄にしてしまった事実。
当然、それは私の自己責任であることは分かっているのですが、しかし、どうしても被害者意識もやってきます。
「私は、12年間の遊戯の末、こんなにたくさんのものを奪われたのか」
このように、パチンコ・パチスロ、また、ホールに対して、強烈な憎しみと激しい喪失感を持つようになったのです。
「辞めよう・取り戻そう・打ちたい」など浮ついた気持ちが完全に霧散
一言でいえば、茫然自失、といって良いです。
12年の負け額を把握してからは、ただただ落ち込むばかりで、なにもヤル気が起きない状態になっていきました。
「辞めたい」とかそういうパチンコ・パチスロのことをどうこう思うのではなく、とにかく、「こんなにも失ってしまったのか」という気持ちのほうが圧倒的に強くなったのです。
それからの数日は、ずっと自問自答でした。家ではよく眠れないものだから、スーパー銭湯へ行き、深夜料金を支払い、一人で湯に浸かり、なんてことはない夜空をボケーっと見上げながら、
「いったい、おまえは何をやっているんだ。こんなことをするために生まれてきたのか」
そんな人生のことをずっと考えていました。
そして、そんな禅問答みたいな考えをしていれば、当然ながら気づく、もう一つの衝撃事実があります。それは、「私の年齢はもうとっくに30代に突入している」ということでした。