パチンコ・パチスロにおいて、「勝ち」とは何でしょう。
単純な意味であれば、その日の遊戯においてプラスになることで、統計の意味でいえば、月間や年間単位でプラスになることです。
ただ、「勝ち」の話になると、必ず「プロ」の存在が現れます。そして、いわゆるパチプロ、スロプロといわれる方々は、世間的なイメージでいえば、それだけで生計を立てている人を意味します。
しかし、この時、ちょっと冷静に考えてみて欲しいことがあります。それは、「本当にパチンコ・パチスロだけで食っているような人間が存在するかどうか」ということです。
「勝ち」とは何か、考えてみる
おそらく、大体の人がイメージする「パチンコ・パチスロで勝っている人」というのは、こんな感じではないでしょうか。
・ホールのクセを徹底調査するまで打たない
・ホールの傾向、良い店を調査済
・釘ボーダーや設定の良い台以外は徹底して打たない
・イベント時には欠かさず並んで良台ゲット
・良台をゲットできない時はさっさと撤退
・夜な夜なハイエナ台や明日の狙い目台をチェックしている
・フットワークが軽い(車で色んなホールへ行く)
・なんなら打ち子を頼む
など
私もパチンコ・パチスロにハマっていた時代、上記のようなプロの姿を思い浮かべては、「すごい人はすごいよな~」と思っていました。
しかし、今は違います。
というか、みなさんにも冷静になって考えてみて欲しいことがあります。
それは、「いわゆるプロという人間を、本当に見たことがありますか?」ということです。
プロは実在する? また、プロのノルマって考えたことある?
ホールに通っていれば、よく見かける人や、よく出している人などを見かけることはあるかと思います。しかし、私たちは、彼らを24時間監視しているわけではないし、彼らの収支を隅々までチェックして、きちんと把握しているわけではありません。
また、前回の記事でも書きましたように、5号機以降のパチンコ・パチスロというものは、たとえ釘ボーダーの良い台や設定の良い台であっても、一日の遊戯時間に上限がある以上、理論上でも絶対の必勝とはなりません。どこで爆発するか分からないし、どれだけ投資しても吹かない可能性だってあるのです。
加えて、パチンコ・パチスロだけで生きていくともなれば、遊戯時間=稼働時間ともなりますので、これらを総じてプラスにしていこうと思ったら、かなりハードルの高い戦いというか、ほとんど無謀な勝負にも思えてきます。
ここで、カンタンな試算をしてみましょう。
もし、パチンコ・パチスロだけで生きていく場合、その人はどれだけ勝たないといけないか、というシミュレーションです。
<前提>
・一ヵ月の標準労働時間160h(20日)
<正社員の単価>
・正社員で30万円の給与の場合
→1日で1.5万円のプラス
→1時間1,875円のプラス
<パチンコ・パチスロで稼ぐ場合>
・上記の正社員基準に照らせば、最低限、1日1.5万円(1時間1,875円)のプラス単価が必要
・しかし、人気のホールで設定台を掴むには、前日の調査や朝の並び、また交通費などの実費もかかる
・たとえ設定台を掴んでも、マイナスになる可能性はある
・その日に打ちたい台がなかった時、副業でもあれば良いが、何もない場合、それ自体が-1.5万円となる(本来、働いていれば得られた金が手に入らないことになるため。)
このように、パチンコ・パチスロだけで食べていく場合、連日のように高設定台やハイエナのできる台を探して、期待値通りに徹底した打ち方をしていく必要があり、その上でプラスにさせていかなくてはいけません。しかも、基本的には毎日最低でもマイナス1.5万円スタートになります。
この状況で理論通りに立ち回れば勝てるなんて、口で言うのはカンタンですが、実際にやってみれば、非常に難しいことです。
なにしろ、わざわざ早起きして、交通費もかけて並んでみたら打ちたい台に座れず、そのまますごすごと帰るということは、並の人にはなかなかできないからです。せめて交通費分や食費代くらいは出したい……などの欲望が起きて、甘い打ち方をしてしまえば、すべてパーです。
また、そもそもホールの置いている台が、良い台かどうか、という問題もあります。いつもは熱いイベントが、その日は外している可能性だってゼロではありません。
要するに、結論として、今の時代、パチンコ・パチスロだけで食っていくなんてことは、ほとんど無理ゲーといって良いわけです。
理論通りに立ち回れば勝てる!などの言葉は一切信用してはいけない
こういう風に、プロはいないとか、パチンコ・パチスロは負けるもの、という発言をすると、
「いやいや普通に食っていけるし」
「期待値通りに打てば勝てるし」
「Aタイプだけ打てば勝てる」
「それは本当の高設定台を打ってないだけ」
など、色んな反論が出てきます。
しかし、パチンコ・パチスロを本気で辞めたいのであれば、そういう意見はガン無視したほうが良いです。なにしろ、こういう自称勝者、自称プロの言葉は一番信用ならないからです。
先ほども書きましたが、私たちは、自分の収支は把握できても、他の人の収支は把握できません。それはつまり、口先だけなら何とでも言える、ということです。
また、そもそもギャンブルしている人間の言葉なんて、ほとんど信用しないほうが正解です。
思い返してみて下さい。
自分自身で、「辞める」といって、果たして本当に辞めることができたかどうか――
また、友達とかに「どうだった?勝った?負けた?」と聞かれた時、事実が5万円以上の大負けだったにも関わらず、「いや、まあ……うん」みたいな濁し方をしたことがないかどうか――
ちなみに、私はどちらも該当します。
つまり、辞めると言って辞められませんでしたし、負けを隠すこともそっちゅうだったのです。そして、恐らく、こういう精神になったことのある人は、私一人ではありませんし、そもそもパチンコ・パチスロに限った話ではないと思います。
要するに、ギャンブラーというのは、平然と嘘をつく、ということです。とくに、「負けは濁す」し、「勝ちは誇張する」という傾向にある、とてもタチの悪い人間なのです。